あいの手紙
電話の向こうから
私の手帳の行方を考えてくれる麻結の言葉は
混乱する私の頭には何一つ残らなくて。
音の羅列のみが耳から耳へと抜けていった。
「由良、大丈夫?」
この言葉にはっとして、我に帰った。
ストーカーは一人で対処してみせるとして…
「麻結!やっぱり家かもしれない!もっとよく探してみる!お邪魔してごめんね!」
ピッ
結局、
言うだけ言って電話を切ってしまった。
電話の向こうの親友に改めてごめんと謝った。
ついでに広人さんも邪魔してごめんなさい!
私だってもう大学生。
怪しいやつの1人や2人!ちょちょいと相手してやりますよっ!!
そう自分を奮い立たせて、玄関ドアのところに今だ座り込むやつに向き直った。
顔を見てやろうと目をこらすけれど、
ちょうど2階の廊下の手摺りが邪魔して
その人相は確認できない。
…にしてもいつまでいるんだろ。
これはもしかしたら、あてどのない持久戦になる可能性大!!?
・・・スーパーの袋重いのに…。
手元を見下ろす。
パンパンに膨らむビニールが今にも破裂しそうだった。