あいの手紙
日も暮れた午後8時。
未だ均衡状態だったが、男の方に動きが見られた。
半ば飽き飽きしていた私は急いで下ろしていた腰を持ち上げコンビニの壁にへばりついた。
男は
のっそりと立ち上がって背を伸ばしている。
もう暗くなってしまい、せっかく顔をみるチャンスだったのに残念だ。
ドアの前でごそごそと動いていたかと思ったら、廊下をつっきって階段を降りはじめた。
やぁーっと諦めたか!
まるで、この持久戦の勝者になったかのように、ガッツポーズを決める。
安心とやっと家に入れるという思いで気が抜けていた。
男は階段降りて、再度私の家を振り返ったかと思いきや、
あろうことか今度は私のいるコンビニへと向かってくる。
や、やばいっ!
反射的にそう思った私は下ろしていた袋を持ち上げ、人のいる明るく照らされた店内へと逃げ込んだ。
ここなら、もしあっちが入ってきたとしても変なことされないだろうし。
そっと雑誌コーナーで顔を隠すように高くファッション誌を持ち上げた。
その隙間から外を覗きみる。
そろそろくるはず。
ドキドキと緊張で激しさを増す心臓を落ち着かせようと押さえ付けた。