あいの手紙
「えぇ~い!開けちまえ!!」
バンッと激しい音をたてた玄関口に立つのはいましがた電話の向こうで聞いていた声の主で
あまりにも突拍子のない登場に、迎え入れるのもすっかり忘れ
ただ呆然と眺めているばかりだった。
「おーい、由良ァ~?
麻結ちゃんのおいでだよぉ~?」
当の本人は、私の反応を面白く思っていないようで少し眉を寄せて怪訝顔。
「開けちゃおっかな~?」
私の手に持つ封筒をスルリと抜き取り、目の前でヒラヒラと動かす。
はっとして見上げた顔は意地悪そうな顔で、
麻結はニヒヒと口を大きく歪ませる。
「だっダメ~!!!」
彼女の手から素早く奪い返し、背中に隠す。
「由良が開けないから私が代わりに開けてあげるって言ってるのに~」
そう言って麻結は私の背に手を伸ばす。
っていうか!
いきなり現れたと思ったらなんなのこの子は!!いつも以上のこの異常な積極性はなに??!
未だ封筒を死守しようと格闘する私たち。
端から見たらなにやってるんだな光景だけど、今の私は完全必死。
私より先に見られてなるものかぁーっ!!!