あいの手紙
「あぁーっ!!それ明日の花火の会場整理券!配り始めて30分で無くなったってやつだ!」
いいなぁーといいながら、麻結は目をキラキラ輝かせる。
その隣で飽きれ顔の広人さん。
けど、今はどちらも気にならなくて、整理券にも気が回らなくて・・・
視線は
白い便箋一枚に集まっていた。
見慣れない、涼の字。
手紙とかを貰うのって初めてだし。
いつもはメールでしょ?
…新鮮さを持ったその手紙は
ひどく印象的だった。
書いてあるのは
ほんの2、3行だけど
逆にそれだから強く記憶に残る。
『
明日、海浜公園に6時。
待ってるから。
由良に会いたい。
』
たったこの3言に
どれだけの想いがこもっているのか。
そんなの私にはわからないけど、
いっぱいいっぱい愛情が詰まっているんだと
信じたい。
「由良、ちゃんと行ってきなよ。」
今までの強い口調ではなく、優しく私の背中を押し出してくれる。
「麻結…広人さん…
ありがとう・・・・・」
ぎゅっと握りしめた手紙にポロリと一滴の涙が零れた。
この涙は私の涼への想いが溢れ出て出来た結晶。
恥ずかしくも
そう思えた。