あいの手紙
6
夕方の海浜公園。
海辺に併設されたこの公園は、海上から打ち上げられる花火を見るには
ベストスポットだった。
そのため毎年人が混雑して押し合いへしあい。
場所とりするのも一苦労…なんだけど、ある一画だけ、人数制限をした特別スペースが設けられている。
そこは前以て配られた整理券がないと入れなくて。
だから、快適に花火を見ながら時間を過ごすことができる。
私が今立っているのは、その入口で。
涼は今か今かと待ち受けている。
時間は5時30分。
待ち合わせまではまだ
余裕で30分もある。
逸る気持ちを抑え切れず…とはいえ、
この30分は辛い。
幸せな待ち時間なんてほんの一瞬!
…なんてそんなの幻想だ。
私の周りはラブラブそうなカップルばかりで、
嫌でもその姿は目に入ってきて、一人で待つ私は隅っこのほうへと押しやられ縮こまってしまう。
今日は頑張って浴衣も着てきた。
涼に少しでも可愛く見られたいから。
少しでも惹きつけておきたいから。