あいの手紙
気合いを入れた努力も虚しく、
鐘が6時を告げる。
涼はまだ来ていない。
もしかして来る途中に事故にでも巻き込まれたんじゃないかと心配になる。
それとも出掛けに急に外せない用事ができちゃったとか・・・
どちらにしても連絡が来てもいいはず。
待ってようと近くのベンチに腰をおろした。
今いるこの場所からじゃ木が邪魔して花火は見えない。
そのせいか人も少ないようだ。
ここには
楽しそうにお喋りしながら海岸の方へと向かう高校生のグループがいるくらいだ。
やっぱり…気が変わっちゃったのかな。
もしかしたら、涼は高校の友達と一緒にいるかもしれない。
私みたいなおばさんなんかと花火を見るよりも
きっと可愛いコや気の合う友達と見に行った方が楽しいに決まってる…
沈みがちになると自然と目線も下がってくるもので…
さっきまで涼が来ないか来ないかと辺りをせわしなくさ迷っていた私の視線は地面を歩くありに移っていた。