あいの手紙
もうダメ、そう思ったときだった。
「俺の彼女に何か用?」
声と同時に
ふわりと私を後ろから包み込む優しい香り。
「はっ!お前が彼氏かよ!女みてぇにナヨナヨしたやつが!」
そんな男の罵言も気にせずに
私を抱きしめて耳にそっと囁く。
「…遅くなってごめん」
その声が聞けただけで、安心が最高潮に達してさっきまであんなに意地になって堪えていた涙が一気に溢れ出た。
「涼…遅いよ。」
後で言い訳させて?と
可愛くおねだりするのはいつもと変わらない涼で。
しょうがないなと
私は泣き笑いの状態で答えていた。
「おまえ、そんな弱っちい体で俺達に勝てると思ってんの?」
ずいっと進み出た男達から涼が私を庇うように背中に隠す。
「ケンカは駄目だよ!」
止めようと試みるも
すでに男達の耳にはもう何言も届かぬようで。
無言の睨み合いは止めることができない。
なんとかしなきゃ!と焦る気持ちは増幅するばかりで、
私は
オロオロとすることしかできなかった。
私がなんとかしなきゃと考えていたのに、
今にもケンカが始まりそうなこの雰囲気を破ってくれたのは
予想外の人物で・・・