あいの手紙
しっかりとその存在を感じる距離にいるのに。
不安になった自分を安心させるために
強く、強く手をにぎりしめた。
それに答えるように涼はぎゅっとにぎりしめ返してくれるけど、
その視線は遠く暗闇を見つめたまま。
この手の温もりだけじゃ安心できないよ。
こっちを向いて。
私を見て。
「涼っ!どこまで行くの?」
無言で
ずんずんと突き進む彼の背中に問いかける。
けど、返ってくるのは
「もう少し。」
その一言で。
どうすることもできなくて、ただ口をつぐんでしまう。
行き着く先がどこなのか、何をこんなに不安に思うのか。
解決できない悩みだけが浮かんでは私の頭を占める。