あいの手紙



「由良ちゃん、顔あげて。」




いつの間にか俯くように涼についていっていた私に呼びかける優しい声。


私はその声に反応してそっと顔をあげていた。




「わっ・・・」



目の前に広がるのは、広い海に反射するキラキラの光と強く私の胸を打つ大きな花火の音。




ドーンという音と共に
パラパラと儚く散ってゆく火の光。



息を飲むほど心奪われるとはまさにこのことで…



「きれいでしょ?ここらへんでも穴場なんだって。」



木と木の隙間から延びるようにあがるこの場所は確かに周りには誰もいない。




「そこすわろっか。」



手を引かれるがまま側にあったベンチに腰をかけた。



しばらく、無言でこの美しい景色を眺めていたい。




となりに腰掛ける涼を心地よくかんじながら
ぼんやりと、この幻想的な空間に浸っていた。





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