あいの手紙



「…ごめんね。」


ぽつりと呟かれた言葉に夜空へと飛んでいた意識がぐいっと地上へと引き戻された。


ごめんね…って



どんな意味のごめんねだろ…


遅くなってごめんね?

連絡遅くてごめんね?

それとも


別れようのごめん…?



隣には真剣な顔付きをした涼が私から目を反らすことなく
真っすぐと見つめてくる。


まるで心を覗かれてるみたいに真っすぐ。



だから本当は涼から目を逸らしたいのに、
実際は吸い寄せられるように目が離せなくなる。



「…それは…何に対するごめんなの…?」


震える声を抑えて
聞き返した。




涼は一瞬考えるような動作を見せて

"今日来るのが遅くなっちゃって。"



そう答えた。




「なにがあったの?」




「ここに来るついでに、おじさんに届けものしにいったんだけど、電車が途中で事故っちゃって、足止めされてたんだ。」



「そうなんだ。」



ほっと一つ肩の荷が降りた気がした。

来たくなかった訳じゃないんだよね…





涼の目は相変わらず真剣で決して嘘をついているわけじゃなさそうだ。




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