あいの手紙
体をひねって、広人の手から逃れようと必死に抵抗する。
「いいだろ?俺、今日仕事ないし。せっかく久々に会えたんだから、麻結ちゃんが足りない。」
ぐっと力強く私を抱きしめて、腕の中に閉じ込めようとする。
いやいやいや!
だから私は学校なんだって!
「すぐ止めてくれなきゃ…広人のご飯、なしにするよ?」
私の言葉に、ピクリと反応を示す広人の逞しい身体。
やんわりと抱きしめる力を弱めて、
私はそこからくるりと向き直った。
「よし。じゃあ、今準備するからね。」
そうして 立ち上がろうとしたら、突然強く手を引かれた。
「…おはようのちゅー」
にやっと笑って私の視界を塞ぐ。
唇に温かい感触。
「さっきもしたじゃん…」
「まぁ、いいじゃんか!」
ハハハと笑う広人に調子を崩されて照れた顔を隠すように台所へ向かう。
…いきなりはずるいよ。
私は熱くなるほっぺに手を当てて、しばらくその場にしゃがみ込んでいた。