あいの手紙
…なに、この人。
「あなたは…どちらさまで?」
苛立つ気持ちを抑えて努めて平静に、聞き返す。
「あら~気になる?私は広人の同僚の茜よ。まぁ…ただの、同僚ってわけじゃないけどね。」
クスッと嫌みな笑いをみせ、茜と名乗る女は、再び部屋の中を探るように見渡す。
「広人なら、今お風呂ですけど。」
彼女の視界を遮るように、ぐっと体を張って入り口を塞ぐ。
自分の家じゃないのに…
なんだか、プライベートを覗かれているようで嫌だった。
「そうなのー」
それだけ言うと少し悩むような仕草を見せたと思ったら、すぐに妖艶な笑顔を浮かべた。
「じゃあ、また今度にするわ。そんなに急がなくてもいつでも会えるし。」
ふっと私を小馬鹿にしたような笑いが飛んでくる。