あいの手紙



「麻結・・・?お薬飲みなさいね。」


空になったお皿を見て安心したのか、
母は市販の解熱剤を差出し、私の額に手を当て熱を測った。


「まだ熱いわね。今日は一日寝てなさい。」


優しい母の声が心地よく心に染み渡る。

「うん・・・おとなしくしてる。」


素直に返事をした私を見てうなずくと、もう一度、にこりと笑顔を残して母はお皿の乗った盆を持って部屋を出て行く。


すっと部屋の温度が下がった気がした。


別に、窓を開けたわけでもなんでもないのに。



人のぬくもりの大きさがわかる。

なんで、こんな時に。

こんな私が弱っている時に。

いや、こんな時だからこそ、なのかもしれないけど。


じんわりと頬を濡らす感触が伝う。

けど、今は誰にも知られたくない。


誰にも見られたくない。
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