あいの手紙
「篠原ならさっき達哉がきて帰ったよ。」
「えっあぁ、そうなんだっ!!」
久しぶりに言葉を交わした川瀬優吾は、やっぱり前と同じ優しい笑みを浮かべてて
夕日に照らされる彼を見る。
そういえば、川瀬優吾と話すときっていっつも夕方だな。それに場所はこの教室だし。
私の中の川瀬優吾はこの夕日の中の彼で、
そんなこの光景をまるで絵か何かのように記憶に焼き付けようとしているのか、私はただじっとその場に立って彼を見ていることしか出来なくなっていた。
「中西?どうしたの?レポート持ったままで。」
声をかけられてようやく意識がはっきりとした。
っていうかなんで、私彼に会う時はこうもマヌケな姿を見せてばっかなんだぁっ!!
自分の悪運の強さに惚れぼれ…ってちがぁーう!
「どうかした?」
一人心の中で格闘していた私は端から見たら変な子で、
必死に取り繕うように、なんでもないよ。といってその場をごまかした。