あいの手紙
「もう!!!何回呼んだら気付くの!」
そう声を張り上げて私の前の席に座り込んできたのは、幼なじみのこずえ。
教室を見回してみたら、いつの間にか残っているのは私たちだけになっていた。
「ゆっこー起きてる?」
眉間にシワを寄せて私を覗き込んでくる彼女の上目使いは女の私からしてもお世辞抜きで可愛かった。
こずえの周りは
毎日に華が舞っていそうで、正直言って、充実していそうでうらやましい。
となりの芝は青く見えるって言うけどさっ
思わず深いため息がでた。
「幸せ逃げるよ~?」
「…はいはい。」
彼女から視線を逸らすように、口を尖らせて教室から見える空を仰いだ。
もう、陽は遠く地平線の彼方へと傾いていて、
時間の流れは速いものだと実感させられた。