あいの手紙
ガラッと言う音と共に私たち2人以外のものが教室に入って来たのがわかった。
「あっ!!篠原じゃん。
達哉下駄箱で待ってるよ?」
入口のドアのところにジャージ姿の男の子がバスケットボールを片手に立っていた。
「うそっ!?それじゃ、あたし帰るね。川瀬くん、ありがとう。ゆっこ、また明日!」
そういってコズエはその川瀬君とやらと私を教室に残して愛する彼氏の元へと走っていってしまった。
…―なんか、気まずいんだけど...
川瀬優吾(カワセユウゴ)。
知らないわけじゃない。彼は学年1のイケメンで、バスケ部のエース。毎日沢山の女の子達にキャーキャー騒がれてるモテモテボーイ。
だから私は知ってるけど、あっちからしたら私誰?みたいな訳だし…
…ほら、気まずいでしょ?
私だって川瀬くんはかっこいいとは思うけど、キャーキャー言えるほど可愛いキャラじゃないし…。
だから、こんなときどうしていいかわからない。
挨拶とかしとくべき?
って言っても知り合いじゃないから、いきなり話し掛けられても困るかぁ。
結論、知らないフリしてたらすぐ出てくだろ。ということになり、私はダンマリを決め込んで再び窓の外に視線を戻した。