あいの手紙
なんとなしに気まずいけれど避けることもできないし…
真正面から向かっていくことはできないけれど、いっそのこと私に気付かないでっ!そんな感じに頭を低くして彼とすれ違う瞬間を待ち構えた。
今顔を合わせるのは、
なんだかちょっと・・・
彼にあの日言われた言葉。
"もっと俺に頼って"
とても嬉しくて喜んでしまった自分が・・・・・逆にとても恥ずかし過ぎて、私は彼の言葉に返事を返すわけでもなく、走って教室から出ていってしまった。
…絶対印象悪いよね。
優しい言葉をかけてもらったのに、受け取らないどころかいきなりの逃走。
あの時の私すっごく意味わかんない変な人だったと思う。
彼が一歩こちらに近付いて来る度に私の鼓動の速さはまた一増す。
このドキドキは気まずさのためなのか、それとも…恋、の高鳴りなのか…
あと数メートルも離れていない。
私はもう爆発しそうだった。
ドクドクと波打つように心が揺れて、立っているのも精一杯だ。
周りの音すら聞こえなくなり、耳の中は私の高鳴る鼓動の音しか聞こえない。
そして・・・
すれ違う!
そう思った瞬間、
私は反射的に目を固くぎゅっとつむってしまった。
固く目を閉じていないと、ここに立っているだけでさえ危うくなっていた。