あいの手紙
「あっ…そういえば・・・」
ふ、と思い出したのは
この間の夢。
満開の桜の中、
小さな私と小さな、たっちゃん。
なんで今このことを思い出したのかよくわからなかったけれど、
隣に座っているのが男の子だったからなのか、
たっちゃんと川瀬君が被って見えた。
「…何か思い出した?」
「あ、うん…たいしたことじゃないんだけどね、」
どこか期待のこもった彼の眼差しに、
"大した話じゃないのに"…と若干自信がなくなったけど
会話につまってたし、
いいかな
と不安に思いながらも
ゆっくりと、昔話を始めた。
「昔ね、幼稚園のころ
皆で桜の咲いてる綺麗な公園行ったの。
そこでねその当時仲良くしてた男の子と遊んでたんだけど、
小さい頃ってほら、
いろんなことに興味もつでしょ?
だから、良い意味で言えば好奇心旺盛だった、なんだけどね、いつもその子に私、迷惑ばっかりかけてたなぁって思い出しちゃって。
ちょうど遠足行ったときも先生の言い付け破って、集団から抜け出しちゃって、
私悪さばっかりしてた割に、先生に怒られるのだけは苦手で…
すぐ泣いちゃってさぁ…けどね、なんでか不思議なことに、その男の子が一緒だと自然と涙も我慢できるの。
だからその子いつも私が怒られるときは一緒に
"僕も怒られるから"って私について来てくれて。
」