あいの手紙



「え…いや、昔流行ってたじゃん…?」



と、どこか目を泳がせてごまかすような彼の反応に疑念を抱き、じーっとその行動を見つめていた。



昔、流行ってたっけ…?
そんな疑念。







しばらくそのままの均衡状態だったが、私のしつこさに根負けして

彼が頭を抱えるように
「あぁ゛ー、もうー…」
と唸りだした。






私はその様子を目を見開いてみていたのだけれど、





ひとしきり唸り終わったのか、ちら、と彼が私の様子を窺いだした。






真っすぐと私を見る彼の瞳にドクンと鼓動が高まる。








「あの…どしたの?」




見つめられることに慣れていない私はすぐに彼の視線に耐え切れなくなって逃げてしまう。



今だって何か話すふりして、すいっと顔をさりげなく下に向けた。




「…あのさ、驚くなよ?」








不意にそんなことを言われてもむしろ何に驚けば…と当然の疑問を抱いた。






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