キミの隣は特別席Ⅱ
「どうぞ。」
中からお母さんの声が聞こえた。
「マナ行くぞ。」
マナの耳元でそう言った。マナはうんと頷いた。
部屋の奥にソファーに座っているお父さんとお母さん、その向かいには車いすに座っているお祖父さま。
「久しぶりだな。優一、元気にしてたか?」
おじい様は数年前に足を悪くしてしまって以降、車いすで生活をしている。
「はい。おじい様とお父さんに紹介します。」
後ろに立っているマナを横に立つように呼んだ。
「紹介が遅くなりました。俺の恋人の城田マナさんです。」
「初めまして城田マナです。」
マナは丁寧にお辞儀をした。
「初めまして、優一の祖父です。」
第一印象はいい方だな…
「いろいろ合ったのに一度も合わなかったね。優一の父の優平です。」
おじい様の合格ラインにマナは入ったようだな。
「花香さんや優輝から聞いてるよ。高校時代からかなり優秀だったと…あの信頼を確かめる試験にも勝ったそうだな。」
「はい。」
勝ったのかはよくわからないけど…
「反対をする理由はない。今夜の主役はわしだが、お前たちにとられるだろうな」
くくっと笑い声をあげた。
俺たちの関係を認めてくれた。
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