キミの隣は特別席Ⅱ
「優一くん、おめでとう。」
メタボぎみのおっさんに挨拶をする。
「ありがとうございます。」
マナと俺は頭を下げる。
「馴れ初め聞きたいわ。」
このおっさんの奥さんだと思われる。
「馴れ初めですか…」
ちらっとマナを見ると、顔が赤い。
話したくないよな…俺らの出会い。
「出会いは高校生の時です。彼女の理解力の速さ、友人思いなところに惚れまして私からアプローチをしました。」
「あら、そうなの?てっきり彼女からかと」
気が付いたら周りに人が集まってきている。
「いえ、私からです。」
ちょっと嘘をまぜながら、お客さんと話しをする。
マナは聞かれたことを素直に短く返すだけで、ほとんど俺が相手をした。
パーティーが終わりごろになって、やっと解放された。
「のど乾いた…」
「俺も…」
壁際にある、ソファーに2人で座った。
「はい、2人とも御苦労さま。」
樹がシャンパンを持ってきてくれた。
「ありがとう。」
それを受け取り、のどに流し込む。
「ここまで疲れると思わなかった…」
俺がそう呟く。
「料理貰ってくる。何がいい?」
マナが立ち上がった。
「マナが選んだものならなんでもいい。」
「わかった。」
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