キミの隣は特別席Ⅱ
「優一、最初に謝っとく。」
父さんが口を開いた。
「何を謝っとくんだよ?」
「あの北杜のお見合いと婚約の話、あれ嘘なんだ。」
「はぁ!?」
「北杜の会長さんとお嬢さんの許可を得ている。」
なんでも北杜の会長と父さんが友達らしい
「なんで?そんなことしたんですか?」
困惑する俺に兄さんが口を開いた。
「優一とマナちゃんを試すためだよ。後、なかなか優一が父さんたちにマナちゃんを紹介しないから」
父さんたちに紹介って、全然家にいない人たちにどうやって紹介しろって言うんだよ?
「優輝が言う通りなんだけど、見事に優一たち別れたな」
見事にって…俺は父さんたちの策略にはまって別れてしまったってことか?
「でも、優一…お前にはわかってもらいたい。春沢家の男の女になるってことはそれ相応の覚悟が必要だ。時には支え、支えられる関係になりなさい。」
「優一ならできるわよ!」
母さんがにっこりと微笑んだ。
「さ、明日の朝、早いんだ。もう寝なさい!」
父さんが立ちあがった。
「優一は明日の朝8時にここに来なさい」
と母さんが言う。
「何かあるんですか?」
母さんがにっこりと笑う。
「秘密よ。」
.