キミの隣は特別席Ⅱ
優一side


父さんたちが帰って来た翌日

言われた通りの時間に実家に着いた。

「やっと来たわね!おはよう、優一」

母さんが玄関から出てきた。

「今日から北海道行くわよ!」

はしゃぐ母さん。

「はぁ!?」

寒いのに余計寒いとこ行くのかよ!!

「もしかして、旅行の準備してないの?」

「そうですよ!」

車の中に多少服とか入れてるけど…なんかあったらようで…

「じゃ、今すぐ準備してきなさい!杉本さんに車回すよう言っておくから。」

来たばっかりなのに…そう思いながら、来た道を戻った。



ケータイを見るけど、メールは入ってない…
マナにメール送ったのに…





「お久しぶりです。奥さまから言われまして、お迎えに」

準備をして、マンションを出ると懐かしい顔が立っていた。

「いつぶりですかね?杉本さん」

「優一さまが車の免許を取られてから、全然呼ばれなくなりましたから」

と杉本さんは苦笑いしながら車の扉を開いた。

「どこまで行くんですか?」

「飛行場です。あと、2時間あるので大丈夫ですよ。」

やっぱりな…母さんたちが帰って来たってことは、春沢家専用飛行機があるってことだ。





空港につくと兄貴が近づいてきた。

「優一、ケータイ出せ。」

と兄貴。

「なんでですか?」

ポケットからケータイを出しながら聞いた。

「いいから。」

不思議に思いつつケータイを渡した。

「この旅行中、俺が預かっとく。マナちゃんに連絡入れさせないため」

兄貴は俺のケータイをポケットに入れながらにやりと笑った。

「返してください!」

兄貴の意図が全く分からなかった。




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