ぜりー えっぐ ―スマイル リズム―
子供部屋には、やわらかいサッカーボールや怪獣人形やヒーローの人形やゲームセットやリカちゃん人形や動物のぬいぐるみ、飛行機のブロックや木で造った電車が足の踏み場もなく散らかっていた。

突然ゆっく〜りと"おもちゃのチャチャチャ"のオルゴールが鳴り始めると、隅の方に有った丸みのある可愛い電車のぬいぐるみがグラグラと揺れ始めた。

その丸みのある電車が、行きなり、ヒョコッと電気抵抗の単位のΩ (オーム) みたいに縮まった。
ペニョッ、ペニョッといった感じで青虫みたいにオームに成ったり伸びたりしてクネクネと目の前を歩んで進んで行った。

壁の向こうに消えて行く。
しかし、青虫電車には、見えないオモチャ社会のお茶目な友情の糸が付いていた。
入れ代わりにダンス好きなクネクネした扇風機が、入って来た。

首や土台が小刻みにブレイクダンスをし、フットステップを華麗に楽しんでいた。 途中一部でタップに早変わりをしたりする。

腕で床を押さえ、ステップが空中に浮く。
右手で安全用の放射状の網を外して帽子みたいに別れの挨拶をした。
プロペラが有り得ないスロー回転し、機体は、浮き逆さに成った。

"さよなら"を思わせて電気が下がり、辺りが薄暗く成る。 さらに演出が続く。

逆さの扇風機が星柄を輝かせ、天井に星空を創り出した。
天の川・流れ星・星座・星群・UFO!?が、大宇宙を描く 広がっていく。

かと思うと天井、四方の壁、床といった順番に天体映像が風によって動くオーロラに早変わりした。
一面が南極に。 熊やペンギンがいた。
 池の中で七匹の色鮮やかな錦鯉が泳ぎ出した。 艶やかだった。

 数分後、フェードアウトして幕が閉じられ、普通の環境に戻った。
< 2 / 12 >

この作品をシェア

pagetop