窓、ひらけば君と恋。
森田君…


森田君は水溜まりがたくさんある道を通って行った。


「嫉妬…香奈に私は嫉妬してたんだ…」


なんだか帰る気にはなれなくて遠回りをして帰った。


土手を歩いていた。


夕方になると学生が沢山登下校していた。私は近くのベンチに座って気持ちを落ち着かせた。



もし香奈が私の気持ちに気付いたらどうする?


自分がどういう行動をするか予想が出来ない…



「諦めようかな…」



「何を?」


えっ…

上を見上げると松原君が私を見ていた。



「な、なんでいるの?!香奈と帰ったはずじゃ…」


彼は私の隣に座ると、


「帰ったよ。一回家に帰った。でも1時間してもお前が帰ってこないから、もしかしたら傘忘れてんのかと思って走って学校行ったらいないから…」


私を…?


「ゴメン…本当は傘忘れてた。だから帰れなくて…」


「なんであの時言わなかったんだよ!」


だって…


「言ったとしても、どっちみち香奈がいたし。どうせ私は濡れても大丈夫だから…」


私よりも香奈が松原君と一緒に帰ったほうがいい…


「オレはお前と話せばよかったかなって後悔した…」


「えっ…」


私は思わず松原君を見た。


「言ってただろ。もっと話しかけてほしいって。小声で」


!…

私は顔が熱くなるのを感じた。


「聞こえてたの…まさか聞こえてたとは…」



「木村さんと帰ってるときも、その言葉が頭から離れなかった」



私は恥ずかしくて立ち上がった。


「わ…私帰ります!」


その場から逃げるように走った。


すると、


ガシッ


誰かに腕を掴まれた。

振り向くと、


ま、松原君!!!


「そっち家じゃない。こっち」


そういうと彼は私の手を引っ張った。


松原君の手が、私の腕に!恋愛初心者の私はそれだけで心臓が張り裂けそう!


一方の松原君は涼しそうな顔をしていた。


なんとも思ってないのかな?


早く帰りたい!でも、


もう少しだけ、こうしていたい…
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