窓、ひらけば君と恋。

君が気になる…

落ち葉が道いっぱいに広がっていた。


道が見えないほどに。



「香奈。よかったね!松原君と付き合うことが出来て!」


彩夏が笑顔で香奈に言った。

香奈も笑顔でそれに答えていた。


「ありがとう。みんなが応援してくれたからだよ」


香奈はすごく幸せそうだった。


「おめでとう…香奈」


私は誰にも聞こえない声でそっと囁いた。



朝の教室には生徒がどんどん入って来ていた。


その中には松原君と森田君がいた。


二人とも普通だった。


普通すぎて怖かった。

変わったことは香奈と松原君が付き合っていることだけ。


私だけそれを受け入れられずに止まっているだけのようだった。


彩夏も素直に喜んでいるのに…

森田君も普通に松原君と話しているのに…


私は…独りのようだった…



先生が教室に入って来た。



「今日はみんなに伝えなければいけないことがあります」


教室が少しざわついた。

中には知ってる人達がいるようだ。


「実は松原に続いて、転校生が来た。じゃあ拍手で迎えてくれ」


みんなが一斉に拍手をした。


そして、ドアが開いた。



入ってきたのは背の高い男子だった。



女子の中ではカッコイイと小声で言い合っていた。


少し栗色の髪の毛で目が大きくて最初はハーフかと思った。



「松原と同じ学校だそうだか、知り合いか?」


先生が松原君に聞いた。


「いえ、知りません…」


松原君は静かに言った。



松原君と同じ学校だったんだ…偶然だな…



「じゃあ、自己紹介を」


「はい…山本裕です。よろしくお願いします」



また拍手がおこった。


そして山本くんは空いている席に座った。


今日転校生が来るなんてびっくり…


2学期のうちに二人も来るなんて。


でも、松原君と同じ学校ってことは沙織さんのこと知ってるのかな…




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