Two Strange InterestS
 ただ、何事にも波風は必要で。というか、薫を中心に波風が立たないわけもなく。

 薫がバイトで能力的・接客的に重宝されているのは知っている。だから、バイトのチーフから時給50円上げるからと(100円くらい上げてもらえばいいのに)懇願され、普通バイトの1.5倍くらい働いていることも、知ってる。
 彼がバイトに割く時間が多いということは、当然、彼女と接触する時間も多くなるということで。

「……面白くない」

 相変わらず彼の部屋にて、床に寝転がったまま某ゲーム雑誌(薫に頼んで買ってきてもらった、年齢指定の一品☆)を読んでいた私は、ぽつりと正直に呟いてしまった。

 今日はパソコンでBLゲー(綾美提供)に興じていた薫が、何事かという表情で振り返る。

 あ、やっぱり保健医(声の担当は子○さん)から攻略してるのね。私はツンデレの生徒会長(声の担当は○鮎さん)から落とせって忠告したのに!
 個人的には石○さんが声を担当している後輩も捨てがたいんだけど……や、やたらキャストが豪華だぞこのゲーム。しかも全員表の名前だし。

 テーブルの上にあったパッケージを何となーく見て、スタッフやキャストにざっと目を通しつつ、そんな感想を抱いていた私は……ある所で、思わず、目を見開いた。

「お……お姉ちゃんにほっちゃん!?」

 反射的にその声優さんの愛称を口走る。サブキャラの女先生は井○喜○子さんじゃないかっ! 加えて主人公の妹(義理ではないらしい、それそれでヨシ!)は堀○さん!? 妹は倫理的・ 年齢的な壁があるとしても、先生はどうだろう。裏ルートで攻略できないのかしら……ネットで情報収集してから、後で私もプレイしてみようかな。

 って違う。そうじゃないけどでも攻略したいぃっ!

「水穂先生は攻略対象外だぞ?」

 目を見開いてパッケージを見つめる私の心中を察したのか、彼は苦笑いで現実を教えてくれた。
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