Two Strange InterestS
 そんな私を見つけた彼女が、口元に笑みを浮かべて続ける。

「ほら、やっぱり貴女もそうなんでしょう? 結局、一番好きなのは先輩じゃなくて先輩が持っているゲーム、好きなのは自分と話が合うから。貴女が好きなのは先輩じゃない。先輩が優しいからつけこんで、利用しているだけなんでしょう?」

 違う。断言できなかったのは……どうして?

「――だから、私は先輩を近づけたくなかったんだ」

 不意に。
 彼女がぽつりと、私に向かって吐き捨てる。

「その人と付き合ってた頃……先輩は楽しそうだったけど、少し寂しそうだった。彼女がゲームに熱中しているときの先輩が、ずっとかわいそうだって思ってた。しかも、その後にあんなことがあって、一番支えてほしい人に支えてもらえなくて……」


 その言葉はそのまま、私の真ん中、一番弱いところに突き刺さる。


「ゲームやアニメが好きな人って……結局、そうなんでしょう?

 好きな人がいても、それよりもゲームやアニメに固執するんでしょう?

 沢城さん、貴女は……違うって言い切れますか?

 私は、貴女が元カノと同じ気がする。だから、そう簡単に先輩を諦められないんです。

 あんな辛そうな先輩は、もう、見たくないですから」



 そのまま横を通り過ぎていく林檎ちゃんに、何も、言い返せないまま。

 薫の元カノ、そして、私の知らない「あんなこと」。

 何も話せない――話してくれない彼、それを知っている彼女、知らない私。


 無意識のうちに……パーカーのポケットの中にある鍵を、握りしめていた。
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