Two Strange InterestS
 ――2週間後。
 
 その日の彼女はハイテンションだった。そりゃあもう気分は有頂天ホテル。なんてったってずっと思い人だったルックル良し、性格良しの先輩から直々に呼び出されたのだ、しかも自宅に。

 風の噂で、最近付き合い始めた彼女との関係が少し微妙になっていると聞いた。何やらここ最近、彼の部屋に出入りしていない、大学でも目を合わせていない、らしい。
 バイト先で接する限りは特に変わった様子もないのだが、そんな本日のバイト終わり、「ちょっと相談したいことがあるんだけど……時間、あるかな?」なんて真顔で言われてしまったら、二つ返事で引き受けるしかないだろう。

 一旦自分の部屋――下宿している親戚の家なのだが――に戻って、メイクをなおし、服も選んだ。自分に何が似合うのかある程度分かっているつもりだから、今日はとにかく攻めていこうと思う。赤いチェックのキャミソールと黒いレースのミニスカートで、小悪魔風に。グロスもピンクのラメ入りを重ね塗りして、厚みを持たせる。

 鏡の向こうにいる自分は、完璧に作り上げられた表情で微笑んでいた。

「……ふふっ」

 これで接近戦に持ち込めば勝てる、そんな気さえしてくる。
 夜も次第に深くなる午後11時、彼の家へ向かいながら、隠せない笑みがこぼれた。
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