Two Strange InterestS
 誰もいないと思い切っていた室内に、彼女の知らない男性が一人。しかも地味にイケメン。思わず胸が高鳴ったのは女性だからしょうがないとして。

 友人が遊びに来ている、普通ならばそう考えるだろうし、彼女だってそう思いたい。

 ……彼の上半身が裸である、という、現実さえ見なければ。

 シャワーを浴びた後なのだろうか。だとしても家主でもない彼がこんな格好で玄関に出てくる必要はないはずだ。
 水滴が滴り落ちる髪の毛をバスタオルで拭きながら、彼はネコのような眼で彼女を見つめ、決定的な一言を言い放つ。

「初めまして、俺の薫に何か用?」

「――え?」

 耳を疑った、聞きたくなかった。

 今……目の前の見知らぬ(イケメン)男は何て言った?

「大樹、紹介するよ。彼女は――」

「先輩! あ、あの……そちらの方は、その……お友達、ですか?」

 認めたくない、絶対に認めたくない。
 彼が……自分の好きな人が、「そっち系」の人間だなんて!

 しかし、そんな彼女の悲痛な願いを、大好きな彼は笑顔で打ち砕くのである。

「彼女はバイト仲間の宮崎さん。俺がちょっと、大樹との今後で相談したいことがあるからって……女性だったら、俺たちとは違う意見が出てくるかもしれないだろ?」

 何だろう、これは……一体、何が起こっている?

 綺麗な顔いっぱいの笑顔で紹介された彼女は、顔面蒼白。というより灰。今すぐに消えてしまいたい衝動に駆られるのはどうしてだろう?
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