Two Strange InterestS
「――お疲れ様。新谷氏の相談には、的確にアドバイス出来た?」

 マンションの入り口でぜぇはぁと呼吸を整えている林檎ちゃんに、私は笑いをこらえながら話しかける。
 私の存在に気がついた彼女が、ものすんごい目で睨みつけてきた。

「あなた……最初から全部……知って……!?」

「勿論。私だって彼の相談要員だし……どんなジャンルでも受け入れる人間ですからね」

 まぁ、嘘だけど。 
 肩をすくめながら両手を広げてみると、林檎ちゃんは開き直ったのか……私をあざ笑う。

「ご愁傷様ね。さすがにああなっちゃった先輩にも同情するけど……貴女も絶対、先輩に好きになってもらえないわよ!?」

 少し気になる言葉はあったが……ここで私がボロを出すわけにはいかない。

 だから、私は口元ににやりと笑みを浮かべて、「それが?」と、聞き返した。

 そう、前から一言、彼女には言っておきたかったのだ。どうしても、これだけは私の口から。

「私が好きになったのは彼だもの。彼がどんな人間なのかをある程度理解したうえで覚悟は決めてるわ。私はこれから、彼に好きになってもらう努力をするだけ。外野に何言われたって後には退かない。自分なりにけじめをつけるまで、私は諦めないわよ?」

 私の自分でも青臭いと思ったセリフに……林檎ちゃんは「バカみたい」と吐き捨てると、暗い夜道を歩き始める。

 その後姿を、私はぼんやりと見つめ、

「……黒い美少女って、いじったり、端から見る分には最高ね」

 相変わらずだった。
< 115 / 160 >

この作品をシェア

pagetop