Two Strange InterestS
 自分の運を一生分使ってしまったような気がして、どうしようかと途方に暮れる。
 そんな私を、彼はまじまじと見つめて、

「しっかし……君が都ちゃんか。正直意外だな」

「はい?」

 彼に不釣合いだって言いたいのかコノヤロウ。歯ぁ食いしばれにゃ!
 私の不機嫌な顔で言いたいことを察したのだろう。「いや、決して悪い印象じゃなくて」と、大樹君はナチュラルに訂正し、

「――安心したんだ」

「安心?」

「ほら、あいつってすぐ女の子に言い寄られるだろ? だから今回も、変な子に引っかかったんじゃないかって……正直、心配してたんだよ」

 なるほど。薫と大樹君の付き合いは私より長い。高校時代の薫を知って、世話を焼いていた彼にしてみれば当然の心配だろう。

 ……本当に君はギャルゲー好きなんだよね? 今日も全部演技だよね?

 私が向けた疑いの眼差しを、彼は先ほどの「変な子」発言を気にしたと思ったのか、慌てて取り繕う。

「都ちゃんはしっかりしてるし、薫のこともちゃんと分かってくれてる。だからもう、あの時みたいな失敗は――」

「――大樹!」

 刹那、部屋の片づけをしていた彼が、大声を出して大樹君の言葉を遮った。

 でも、私は……しっかり聞いてしまったんだ。

 あのときみたいな失敗。

 一体、何の話だろう?

「大樹、俺のことは自分で都に話す。だから――」

「了解。外野はさっさと退散しますよ」

 状況を把握しきれない私を無視して、二人の間で話がまとまった。
 立ち尽くしたままの私とすれ違いざま、

「じゃあ、都ちゃん……綾美によろしくね?」

 私の親友の名を告げる。

「へ!? あ、ちょっと!?」

 どうしてそこで綾美の名前が彼の口から!?

 問いただす間もなく、扉がバタンと閉まる。

 わ……分からない人だ。つかみ所がないというか、何を考えているのか分からないというか。
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