Two Strange InterestS
「薫はこの間、自分の口から説明するって言ってたけど……結局説明してないんだろ? 詳細は本人の口から聞いてもらいたいんだけど、概要くらいは、今の都ちゃんも知る権利がある」

 手にした缶コーヒーをすすり、彼は、話し始めた。

「俺は今、専門学校の2年生だ。薫は一浪してるから大学1年生。ねぇ都ちゃん、どうして薫は一浪したんだと思う?」

「どうして、って……」

「俺が言っても実感ないかもしれないけど、薫、普通に頭いいんだよ。この大学だって、余裕で現役合格出来るだけの力を持ってた。だけど……俺たちが高3の 夏、産休に入った先生の代わりに、臨時で若い女教師が赴任してきてさ。そいつが教師って立場を忘れて、薫にしつこく付きまとったんだ」

 ――あ。

 思い出すのは、そんなに遠くない過去。私が興味本位で話を振った、その時の言葉だ。



「……付き合ってない。断った」

「あの先生のおかげで女性が怖くなったんだよな……ストーカーみたいで、参ったよ」



 半分は冗談だと思った。だけど、実際はそうでもないらしい。大樹君の口調と表情から、十分理解できる。

「薫にはその時、別の学校だったけど付き合ってる彼女がいたんだ。そりゃあ、男子校にいてもモテまくりで、告白されない月はないくらいだったけど……」

「それって、ゲームが好きだっていう……?」

「あれ、都ちゃんも知ってたんだ。そう、やたら格ゲーが強くて、本人も気が強くて、だから上手くいっていたのかもな」

 その彼女が、林檎ちゃんが言ってた「元カノ」か。
 本人以外から、彼の過去、しかも女性関係に関する話を聞くのは、やっぱりどこか複雑だった。
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