Two Strange InterestS
「どうして別れちゃったの? どうして薫は……BLの世界に逃避するようになっちゃったの?」

 聞きたかったけど、聞けなかったこと。
 私は何を聞いても受け止める、そんな心境で、大樹君の言葉を待った。

「その教師、性質が最悪の女でさ。臨時の職員ってことで学校を掛け持ちしてたみたいで、教師って立場のクセに、偶然授業を担当している薫の彼女にあからさまな嫌がらせをしたり、薫を待ち伏せたり。そんなことが続いて……さすがに我慢しきれなくなった薫は、教師本人の所に行ったんだ。これ以上、俺に付きまとうのはやめて欲しいって」

 あの薫にそこまでさせるってことは、相当、だな。

 ある程度予測していたので表情を変えずに聞くことができたけれど、さすがに、次の言葉には絶句するしかなかった。

「その時、薫と教師がどっかの教官室で2人きりだったみたいなんだけど……女教師が突然悲鳴上げて、近くにいた別の教師が教官室に殴りこんでみれば、彼女のうえにまたがる薫を発見した、しかも教師の着衣は乱れてる、ってわけだ」

「なっ……!?」

 フィクションでもシャレじゃ済まない事態。そんなことが実際に起こったら……。

「結局、薫は謹慎処分。ただ、俺たちは薫のキツイ顔を見てきたから、その話を信じなかった。クラス全員で結託して、その女教師に真相を吐かせて辞職には追い込んだけど……それが高3の冬だぜ? 薫は受験に臨めるような精神状態じゃなかったし……付き合ってた彼女が、周囲の噂を、薫が教師を襲ったっていう方を、信じてしまった」
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