Two Strange InterestS
「新谷氏がどんな価値観で生きてても……私は否定出来ない。だって、新谷氏の生き方は、新谷氏が決めるべきだもの。そうでしょう? いきなり出会った事情も知らない女に……我が物顔で指図されたくなんか、ないわよ、ね……」


 だけどね、薫。


「だけ、どっ……君は、私に名前で呼ぶことを許してくれた! それは、少なくとも私が「いきなり出会った事情もしらない女」からランクアップしたんだって……私は、そう、思って……っ……!」


 嬉しかった、本当に嬉しかったんだよ?
 合鍵をもらった瞬間も、名前で呼んでって抱きしめてくれた瞬間も、薫と過ごした時間、全部。


「私はずっと、君に認めてほしかった! 薫が過去に辛い思いをしてるなら、そのことも……事実そのままじゃなくてもいいから、伝えてほしかった! 私だけ何も知らないなんて、ずっと、嫌だった……」


 私が林檎ちゃんを好きになれなかったのは、彼女が私の知らない彼を確実に知っていたから。
 そして、薫はそれを知りながら……私に何も話してくれなかい、そんな状況だったから。


「信じて……欲しかった、そんな保障が……ほしかった、からっ……!」
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