Two Strange InterestS
 音が、なくなる。
 それくらい静かな部屋の中で、ただ、彼の息遣いだけが届く。

「ゴメン……都、俺……」

「謝って欲しいわけじゃ……ない」

 私を見下ろし、涙を拭ってくれる薫に、少しだけ、不機嫌な声を返した。
 だって、私は欲しいのは……謝罪の言葉じゃないから。
 私が欲しいのは、正直なキミの言葉だけ。
 それだけ。

「……寂しかった。俺は過去を引きずってて、都のことも、俺のせいで傷つけたくなくて……これが都のためだって思ったけど、これ以上傷つきない自分への自己満足だったんだよな」

「一方的に思えたから、さすがに凹んだよ。でも、私も……薫のこと、きちんと知ろうとしてなかったと思う。ゲームにばっかり目がいってたから、薫が心から信頼してくれなかったのは、私の行動にも責任はあるんだと思う」

「……優しいな、都は」

 不意に表情が緩んだ。私の大好きな笑顔が、私だけを見つめている。

「あれから、俺の中にぽっかり穴が空いたみたいで……寂しくて、何度も都の部屋に行こうとしたけど、俺に今更、何ができるだろうって……」

 呟きながら、もう一度、私を抱きしめる。
 ベッドに沈んだ2人分の重さが、妙に嬉しかった。

「こんなに都のことを思ってたんだって……今更みたいに自覚して。だから、弱い自分から今度こそ脱却して、自分のことしか考えてなかったことを謝って、それで……ちゃんと、ちゃんと言おうって……」

 肝心なことが、何なのか。
 彼もきっと、自分に問いかけていたんだろう。

 一度呼吸を整えた薫は、私の耳元で、はっきりと囁いた。
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