Two Strange InterestS
 その店は、大学からバスや私鉄を使って数十分、駅や商業施設が密集したターミナルビルの中にある。

 コミックやCDの品揃えは勿論、購買物によってはオリジナルの特典がもらえたり、透明のブックカバーがついてきたり、ポイントに応じたサービスもあるので……ついついここまで足を運んでしまうのだ。だから今日も、本当は大学近くの書店でも買えたのに、ついつい。欲しい雑誌を買うとポストカードがセットでもらえるってことだったから、ついつい。
 それに……普通の書店で買うよりも、ここの方がレジに持っていきやすいし。

 そう、多分それは、彼にとっても同じだったのだろう。
 だからこそ、私たちはこの店内で再会してしまったのだ。

 ただ、その時の気まずさといったら、言葉で表現するのが難しい。私的には、日本の総理大臣と中国の国家主席が靖国神社で鉢合わせするくらいの気まずさだと勝手に思っているけど。

 ……とにかく、鉢合わせしたものはしょうがない。彼がなぜこの棚の前で立ち尽くしていたのかは分からないが、私だって両手に持っている本は、表紙が水着美少女・裏表紙が明らかなエロゲの広告――隠しようがないほど男性向けだ。それらをさりげなーく自分の背中で隠しつつ、

「……お節介かもしれないけど……何か欲しい本、あるの?」
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