Two Strange InterestS

good night

「……辛いこと、思いださせちゃったよね」

 何度聞いても覆らない現実、消えない傷痕。
 知ることは私が望んだことなのに、残ったのは罪悪感。

 薫は「いいや、大丈夫」と呟いて、ギュッと、私を抱きしめた。

「聞いてほしかったから。いつか、自分の口で話せたら……俺はちゃんと、都と向き合ったことになるかな、って、思ってたから。都がいてくれて、俺と向き合ってくれて……よかった」

 やば……また泣きそうだ。
 誰かに必要とされることがこんなに嬉しいなんて知らなかったから。

「……都?」

「よか、った……私、諦めなくて……よかった」

 涙をこらえているのが一発で分かる声音で呟くと、不意に、薫は私の眼鏡を外して、

「やっぱ可愛いよ、都は」

 まじまじと覗き込む。いくら視力が人並み以下とはいえ、至近距離では彼の顔もはっきり見える。私を見つめる大きな瞳を直視できなくて、思わず顔を横に背けてしまった。

「い、いきなり何? っていうか、薫……いつから言葉攻めのキャラになったの」

「攻めだなんて滅相もない。俺はいつだって受けキャラのつもりだけど?」

 さらりと言い放つ彼の言葉を、私は信じられずにジト目を向けた。
 だってそうでしょ? 受け専門キャラだったらとりあえず攻め好きの私と位置変わりなさい(=薫が下になれ)ってのよ。
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