Two Strange InterestS

 道行く人が、聞きなれない単語に首をかしげながら、でもしっかりコチラを横目で見つめながら通り過ぎていく。
 そんな彼は、彼女の剣幕に苦笑を浮かべながら、

「いや、アレは本当に悪かったって! ただ、急に親が引っ越すことになってさぁ……あの地域でのイベントに参加出来なくなったんだよ」

「連絡くらいよこすのが、相方に対する礼儀じゃないの!?」

「その通りでございます……」

 怒り沸騰の綾美と、真実を語ろうとしない大樹君。コレは明らかに平行線。私と薫は、そんな2人のやり取りを放心状態で眺めながら……「なぁ都、俺たちだけでどっか消えないか?」「そうね、それがいいような気がする」と、この場から脱出する計画を話し合っていた。

 ただ、

「……出してないから」

 掴んでいた手を離し、彼女がぽつりと呟く。

「綾美?」

「あの時の本、まだ出してないから。あんたが4日後に原稿を仕上げるって言うなら……今から印刷所に掛け合ってあげるわ」

 それが、彼女の伝えたいことだったんだと、私は思う。


 それから2人がどうなったのか……それは、また、別の話。
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