Two Strange InterestS
「と、いうわけで薫、コスチュームプレイ、略してコスプレよ!!」

「正直、詳細が意味不明なんですけど……」


 話はざっと、数分前にしかさかのぼらないけれど。
 今日も今日とて、ゲームをするため……と、薫とラブラブするために(笑)合鍵を使って侵入していた私。

 部屋の中で新作ゲームに興じていると、時間通りに彼が帰ってきて。

 そして、薫がバイト先で使っている制服一式を持って帰ってきたことが全ての発端である。


「へー……こんな制服だったっけ。ファミレスって感じだね」

 ネクタイやブラウスをチェックしながら、よく分からない感想をつぶやく私。
 エプロンしか支給されない私のバイト先とは違って、彼の場合は上から下まで全部貸してくれるのである。まぁ、ファミレスだしね。統一感が必要なのは当然だろう。

 白いブラウスにブラウンのネクタイとズボン、汚れが目立ちそうな気もするんだけど……さすがは薫、油汚れ一つなく、ブラウスが輝いて見えるよ。

「俺は接客中心だから、そこまで汚くないけど……厨房中心の奴らは相当汚いらしいな。俺も見たくないくらいだし」

「へぇ……」

 もの珍しく眺める私を、彼が苦笑で見つめ、

「そんなに珍しい?」

「いやだって、制服っていわゆる一つの萌え要素じゃない?」

「……そういうことを真顔で言われても……第一、ファミレスの制服じゃ萌えないだろ?」

「そうかなぁ? 私はそんなことないと思うけど」

 大学生になると、制服という概念から遠い日常を送ることになる。
 それこそ、バイトでもしない限りは制服なんか着ることはない。中高生時代に飽きるほど着ていた服装が、今では妙な輝きを持った思い出として頭の片隅に残っている程度なのだ。

 だから、どんな制服であれ……制服であることに違いはない。(当たり前)

 制服、かな。薫が着たら、きっと似合うんだろうなぁ……。

「……着て欲しいなぁ」

「都?」

 本音をつぶやいた私を、今度は怪訝そうな顔で見つめる薫。

「ねぇ薫、その制服、今から着てみてくれない?」

「は?」
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