Two Strange InterestS
「だって、見てみたいんだもん。バイト中はあんまり来ないで欲しいって言うから……私、一応遠慮してるし」

 一度、冷やかし程度に綾美や大樹君と一緒にお邪魔したことがあるのだが……私たちのマイペースな態度に、彼が泣きそうな顔で「頼むから、俺がバイトしてる間は来ないでくれ」と訴えられたのは、そんなに遠い昔でもない。

 ……まぁ、あれはどう考えても私たちが悪いんだけど……だから、それ以後、薫のバイトの邪魔はしないようにしているんだけど。

「ねぇー、いいでしょー? 着てよ、着てよー」

「やだよ。第一、汚れて洗濯したいから持って帰ってきたのに……洗濯する前の服に腕を通せって言うのか?」

「いいじゃない別に。どうせ、この後シャワー浴びるんでしょ?」

 私が犬のようにせっつくので、薫は一度ため息をつくと、

「……何を期待してるんだか」

 おもむろに、着ていたTシャツを脱いだ。
 おお、何気に生着替えですか? まぁ、今更だけど。

「と、いうわけで薫、コスチュームプレイ、略してコスプレよ!!」

「正直、詳細が意味不明なんですけど……」

 ぶつぶつぼやきながらも、白いブラウスに腕を通してくれる。

「細かいことは気にしないっ☆ もしかしてメイド……じゃないや、執事さんっぽい雰囲気になったりするのかな。ねぇ薫、お嬢様って言って?」

「興奮しないでください、お嬢様?」

 携帯カメラさえ構える私を、びしっと指差しして忠告。
 そして、数分後。


 目の前に現れたのは、完全無欠のウェイターだった。
< 154 / 160 >

この作品をシェア

pagetop