Two Strange InterestS
「いきなりだな。それに……そういうことは、いつも沢城に本を貸してくれる人に聞いた方がいいんじゃないか?」

「いや、新谷氏がどうしてBLを読んでるのかな、って。前から素直に気になってたから」

 新谷氏は、何と言うか、BLに性的興奮を求めているわけでもないだろう。その辺は私と同じで――私がギャルゲーの攻略対象ヒロインに欲情せず、突っ込みながら物語を進めるのと同じで、ある程度第三者的な立場から楽しんでいるような、そんな気が、するから。

 私の言葉に、彼は少し考え込んでから、

「綺麗な世界に憧れてるのかもな」

一言、端的にこう言った。

「……は?」

 綺麗な、世界?

 真意を理解できずに思わず聞き返した。彼はBLに何を求めているんだろう。まさか、本当に男性が好きで、でも、それを表に出せないから物語の中に自分の理想を探し求めている!? リアルではあんまりそういう世界って受け入れられない傾向が強いから!?

「し、新谷氏……そんなにスーツの上司に責められたいの!?」

「そういうシチュエーションを端から見るのは別に構わないけど、自分が当事者にはなりたくないかな……」

 見るのはいいのか!? 気持ちは分かるけど本当にいいのか!?
 思わず椅子の上からずり落ちそうになった。私の中では混乱が別の混沌を生みつつ、とりあえず、彼の続きに耳を傾けることに。
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