Two Strange InterestS
さすがに全世界に対してBLラブとはカミングアウトしていないが、彼女は現役で同人誌を出している同人作家である。ちなみにコミケは基本シャッター前。最近は数多くの出版社からアンソロジーに参加しないかと話を持ちかけられるほどの腕前であり、姉御的な性格(実際はゴーイングマイウェイなだけ)との相乗効果で、固定ファンもイベントの度に増えているとか。
……ただ、私は彼女の売り子だけは、もう二度とやらないけど。
「綾美、遅いよ。集合時間は20分前だったと思うんだけど?」
「いやーゴメンゴメン。コンビニのコピー機が混雑しててさー」
私の正面に座った彼女は、B5サイズの書類がすっぽり収まるトートバックを足元において、
「でも、都もハイペースだね。正直、あんたがここまで好きになるなんて思わなかったんだけど」
私が飲んでいたコーラを横から掻っ攫い、にんまりとした笑みを向ける。
うーん……良心が痛むというか、何と言うか。
「はは、まぁ……ね」
曖昧に笑って誤魔化すのは、彼女は私が彼の家に入り浸ってギャルゲーに精魂捧げていることを知らないからである……そもそも新谷氏のことだって、まだ彼女には話していない。
理由は単純。行動力だけは某世界を大いに盛り上げる団の団長に引けを取らない綾美である。新谷氏の存在を知れば最後、彼に引き合わせろ、仲間をむしろ自分に紹介しろとしつこく詰め寄ってくるはずなのだ。それは、綾美がオリジナル本を描く時のネタにするために違いない。
彼はあまり、自分の興味関心を表に出したくないみたいだから、自室のパソコンまで借りている手前、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないし。
と、いうことで、今、「私がBLに興味を持ち始めたから、その筋では大先輩である綾美に本を借りて勉強させてください。とにかく色んな世界を知りたいの!」……ということにして、彼女から新谷氏へ横流しする本を借りているのである。
……ただ、私は彼女の売り子だけは、もう二度とやらないけど。
「綾美、遅いよ。集合時間は20分前だったと思うんだけど?」
「いやーゴメンゴメン。コンビニのコピー機が混雑しててさー」
私の正面に座った彼女は、B5サイズの書類がすっぽり収まるトートバックを足元において、
「でも、都もハイペースだね。正直、あんたがここまで好きになるなんて思わなかったんだけど」
私が飲んでいたコーラを横から掻っ攫い、にんまりとした笑みを向ける。
うーん……良心が痛むというか、何と言うか。
「はは、まぁ……ね」
曖昧に笑って誤魔化すのは、彼女は私が彼の家に入り浸ってギャルゲーに精魂捧げていることを知らないからである……そもそも新谷氏のことだって、まだ彼女には話していない。
理由は単純。行動力だけは某世界を大いに盛り上げる団の団長に引けを取らない綾美である。新谷氏の存在を知れば最後、彼に引き合わせろ、仲間をむしろ自分に紹介しろとしつこく詰め寄ってくるはずなのだ。それは、綾美がオリジナル本を描く時のネタにするために違いない。
彼はあまり、自分の興味関心を表に出したくないみたいだから、自室のパソコンまで借りている手前、これ以上迷惑をかけるわけにもいかないし。
と、いうことで、今、「私がBLに興味を持ち始めたから、その筋では大先輩である綾美に本を借りて勉強させてください。とにかく色んな世界を知りたいの!」……ということにして、彼女から新谷氏へ横流しする本を借りているのである。