Two Strange InterestS
 したり顔で、いかにも「知ってます、ええ知ってますとも」という表情で、

「私はどっちかっていうと、保健医と先輩の方が好きかもなぁ。だってあの先生、絶対先輩のこと狙ってるもん。夏のビーチにあの格好(ご想像にお任せします)で登場したときは、本気でどうしようかと思った。不覚にもときめいたね」

「あー分かる! やっぱり都は目の付け所が違うわよね。大体、旅行先で偶然出会うわけがないっつーの。でも、あのイラストは傑作だったし、そういう策士で鬼畜な部分がそそられるのよねー☆ 今度ドラマCDになるんだけどさ、先生の役って森川さんなんだって。嬉しくて、知り合いと思わず3時間メッセしちゃった」

 ひとたび彼女好みの話に持っていけば、あとは延々と喋ってくれるのだ。ちなみにさっきのは新谷氏の意見である。彼からおおまかな内容とキャラクターに関する情報を聞いておけば、ある程度なら綾美の話にも付き合うことが可能。
 そして多分数日後、私はこの作品のドラマCDを笑顔の綾美から手渡されるのだろう。KAT-TUNでも嵐でもなく、コレを。

 うぅ、BLのドラマCDってどんな感じなんだろう……怖いもの見たさ(聞きたさ?)というか、私の好きな声優さんも出演してるらしいから(綾美情報)複雑というか。

「そういえば綾美、コピー機って……」

「あぁ、今回はイベントまでちょっと時間がなくてコピー本になりそうなの。本当は新刊ナシでもいいかなって思ったんだけどさー……サイトに結構要望のメールが多くてね。つい、頑張っちゃった★」

 てへ、と笑う彼女だが、毎度のことに私は呆れる。

「またぁ!? 綾美の頑張りは人間生活との交換条件で成立してるんだから……たまには10時間くらい寝なさいよね?」

「分かってるわよ。あとは綴じるだけだから、今日は布団で眠れそうだわ」

 一体どれだけ修羅場だったんだ。特に目の下にくまがあるわけでもない、けろっとした顔で語る彼女に、私がこれ以上言うことはなにもない。
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