Two Strange InterestS
「……そんな噂、本人に向かって聞かないでくれ」

 学園ゲームで裏ルートの担任教師エンディングを見終わった余韻に浸りつつ(いい仕事してました)、教師繋がりってことでそんな噂を思い出した私は、不意に聞いてみる。

 私が聞いたことを正直に伝えると、最初は自分の世界から出てこなかった彼も……うんざりした表情で私のほうを見上げた。
 そんなくだらないことで俺の世界を邪魔するな、彼の目が訴えているも、私は別に気にしない。彼の過去にズカズカと土足で侵入、なのである。

 ……まぁ、そういうネタには興味あるし、正直。

 ただ、自分の行動にも少し気をつけなきゃいけないかな、と、思い始めていた。私がギャルゲー目的とはいえ、彼の部屋に入り浸っていることは事実なのだ。変に「付き合ってる」なんて噂が流れたら、間違いなく彼に大きな迷惑がかかってしまうから。

 だからこそ、今、もしも「付き合ってる人がいる」なんてことだったら……私はこの部屋のパソコンをどうやって自室に持ち込むかを検討しなければならなくなってくるのである。まぁ、そんな噂は聞いていないから大丈夫だと思いたいけれど。

「じゃあ、全部本当なの? 高校生の頃に女教師と付き合ってたのも、実はやっぱりガチムチ兄貴にしか興味がないっていうのも本当?」

「……付き合ってない。断った。そして俺は兄貴に興味は……な、ない」

 口ごもりながらも白状する新谷氏。
 ってヲイ、後半はあえて何も言わないが告白されたのは本当なのかよ!

 思わず絶句しつつ、ふと、先ほどのゲームの内容が頭の中でリフレイン。私が思う「女教師」の基本スペックを並べてみる。

「ねぇ、どんな先生だったのか聞いていい? やっぱりツリ目の美人教師でタイトスカート、ストッキングは必須アイテム?」

 ステレオタイプで申し訳ないが、私が思い描く「女教師」を単語にして並べると、新谷氏が完全に呆れた表情で首を振った。
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