Two Strange InterestS
「俺が男子校だったからかもしれないけど……あまり生徒を刺激するなってことで、そこまで露骨な教師はいなかったよ。まぁ……例外もいたけど」

「でも、新谷氏に言い寄ってきたのは、それこそ若くて美人だったんでしょう?」

「……そりゃあ、まぁ」

「スタイル抜群で、胸なんかグラビアアイドル並みで、でもしっかりウエスト締まってて、ストッキングが……」

「ストッキング好きだな沢城」

「当たり前でしょう!? ストッキングをはいてない女教師なんか認めないわ!」

 そう、女教師にストッキングがないなんて邪道よっ!
 そんな私の叫びを苦笑で受け止めた彼は、床からベッドに座り直すと……私と目線を合わせて、

「まぁ、沢城は何か別の印象を持ってるかもしれないけど……俺はあの先生のおかげで女性が怖くなったんだよな……ストーカーみたいで、参ったよ」

 何か思い出したのだろう。表情が渋くなる。

 その言葉を聞いた瞬間、頭の中で散々美化していた女教師の図(実際は顔も名前も知らないけど)に、ビシっと亀裂が入った。
 うーん、いくらなんでも教え子をストーキングしちゃダメでしょ大人なんだから。

「それはちょっとねぇ……そんな教師に個人レッスンされても嬉しくないわ」

「全くだよ。おかげで今も「女性」は怖いんだよなぁ……」

 しみじみ呟いた彼に、一瞬、目が離せなくなる。
 同時に前々から思ってはいたのだが、改めて確信することが一つ。

 新谷氏、奴は私を女だと思ってないな。今更だけど。

 でも、本人は気がついていないのかもしれない。その無駄に爽やかで無防備な笑顔が、ギャルゲーの主人公になれる素質のひとつなんだってことに。
 そうか、だからヒロインはみんな主人公に好意を寄せるのかな。

「……鈍感だね、新谷氏は」

「?」

 ほらね、絶対気がついてない。

 キミは多分、自分が思っている以上に異性を引き寄せてしまうんだよ。不本意かもしれないけれど。

 名付けて、ギャルゲー主人公体質。主人公スペック標準装備でもいいや。
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