Two Strange InterestS
「気がついてないならいいよ、大したことじゃないし。さて、とりあえずこのゲームはフルコンプしたから……次は久しぶりにシリアスかハードなやつやりたいなぁ。ホラーか陵辱か、あ、あんまし触手は好きじゃないからソッチ系は勘弁してもらいたいんだけど」

 さり気なく次回作をリクエストする私。彼は苦笑で「分かった」と了承し、ふと、

「そういえば……どうして沢城はギャルゲーが好きなんだ? 世の中には乙女ゲーもあるっていうのに」

 新谷氏の何気ない、それでいてもっともな質問は、過去、綾美に興味本位で借りたとあるゲームを思い出させた。ちなみに乙女ゲーとは、主人公が女の子で、男の子と親睦を深めているゲームである。ア○ジェリークや金○のコルダなどなど。

 まぁ、綾美にしてみれば……乙女ゲーはキャラクターやネタの宝庫である。だからわざわざ持ってるんだろうけど。

「うーん……乙女ゲーは嫌いじゃないの。むしろネオ○マンスとかキャラ萌えよ? 声聞いただけで、ボタン押すたびに画面の向こうで悶えてたわよ」

 フルボイスのゲームに慣れていなかった頃は、逐一喋ってくれるサービス満点のゲームに、一人、そりゃあもう興奮していた頃もある。今でも多分同じ反応だと思うけど。

「ただ、前に綾美にゲームを借りたんだけどね……10時間頑張ってフラグ立てて親近感アップさせても、どこをどう間違ったのか全然違うキャラのエンディング(しかもそのキャラは個人的にどーでもよかった)になりそうになったとき、一気に冷めちゃったのよね。今までのラブラブ寸止めイベントは何だったんだ! って、思っちゃって」

 まぁ、攻略本を頑なに拒否した私にも非はあるのだが……あの時の悔しさは、まだしばらく忘れられない。こういうのを「トラウマ」と呼んでいいのかどうか迷うところだが、私にしてみれば立派なトラウマだ。
< 37 / 160 >

この作品をシェア

pagetop