Two Strange InterestS
 ゲームに明確な性別はないと思ってる。面白いと、好きだと思った人間が楽しめばいい。
 空想でいいんだ。架空でいいんだ。むしろ……その方が、いいんだ。

 現実ばかり見ると疲れてしまうから。逃げ場のない人生なんて、両脇から壁が迫ってくる日々。ただ潰されるのを待つだけなんて冗談じゃない。私はその壁に穴をあけて、たまに抜け出している、多分そういうことなんだと思う。
 そして、穴を開けた先にあった世界がギャルゲーの世界だった。そういうことなんだろう。

 そういうことにしておこう。
 そういうことにさせてください。

 椅子の上に胡坐をかいて返答した私に、彼はしばしぽかんとした表情を向け……そして、

「はぁ……やっぱ、カッコいいよ、沢城は」

 大袈裟に息をつきながら、しみじみと呟く。
 言われた私は、目を丸くして聞き返した。

「そう?」

「自分の意見を隠さずはっきり言うって、なかなか出来ないと思うんだ。そりゃあ、俺はある意味沢城の仲間だから、遠慮する必要もないけど……でもやっぱ、カッコいいよ。うん、俺はそう思う」

 どうやら今、彼から褒められているらしい。予想外の展開に、私は気恥ずかしくて言葉が続かなくなり……適当な受け言葉で話を切り替えようとした。

 ただ、次の瞬間。
 このギャルゲー主人公体質の新谷薫は、笑顔でこう言ったのである。
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