Two Strange InterestS
「先輩、彼女……いたんですか?」

 瞬間、私を見つめる彼女の目が鋭くなった、ような気がする。
 隣にいる新谷氏は無言で私を見つめ……何やら、私に目で訴えかけているようだ。

 だけど、今の私はそれどころじゃない。
 だって、だってだってだって。

 新谷氏の隣にいるのが、美少女なのだから。

 腰近くまで伸びた黒髪ストレート、ティーン誌のモデルのようにパーツ狂いのない顔、っていうか目がデカイ。反則、その大きさは反則。
 どこかで見たことあるような顔だなぁと思っていたのだが……そうそう、この間声グラ――声優雑誌――で見た某声優さんに何となく似てるんだ。彼女も可愛いんだよねぇ、声だけじゃなくて顔も。

 そして、先ほどから響くロリボイス……風華ちゃんがそこにいた。彼女の名前も年齢も知らないけど、目の前にリアル風華ちゃんがいる。私の中でそういう情報ばかりが勝手にインプットされて、本人の知らない所で定着していく。

 惜しいのは……非常に失礼だが、体の発育が風華ちゃんに及ばない点だ。でも、それはそれでいいと思うよ。うん、ロリボイスなんだから小柄なロリ体系でもいいよね?

 私の頭で自分勝手な分析がなされていることなど知るはずもない彼女は、私が脳内妄想に夢中で彼らに対して何も言わないことに焦っているのか……少し目を吊り上げて(いや、それも十分可愛いんだけど……さっきから私変態みたいぢゃん)、こう言った。

「それとも、先輩の追っかけですか? 残念ですけど、私の方が先に用事があるんです。部外者は引っ込んでもらえませんか?」

 なぬ、今の言葉は聞き捨てならない。彼女が彼の部屋に外泊するのは構わないのだが……今日だけは、今日だけは遠慮してもらわないと。
 だって、私の風華ちゃんが早く攻略してってパソコンの中で待ってるんだから!(多分)

 ――と、カバンの中で携帯電話が鳴る。メール着信音だったのでカバンから取り出して確認すると……送信者は新谷氏ではないか。
 何事だろう。とりあえず本文を確認。そして……ため息。
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