Two Strange InterestS
 鍵を開けてもらい、部屋に入る。
 当然だが室内は暗い。先に入った彼は電気をつけるより早く、玄関脇にある風呂場のドアにかかっていたバスタオルを取ると、それを……私の頭へバサリと落下させるではないか。
 靴を脱いで室内へ一歩踏み出そうとしていた私は、唐突な状況に対処できずに……結果、大袈裟なくらいバランスを崩してしまう。

「うぁっ! ちょ……!!」

 前のめりになった。重心が傾いた体はそのまま床に引き寄せられる。何も見えないから手をつこうと思っても体が反応しない!
 床に額が激突する最悪の未来が間近まで迫った、次の瞬間。

「沢城!?」

 彼の声が響き、そして、

「大丈夫か?」

 頭から白いバスタオルを被ったままの私は、多分、危険を察知してくれた新谷氏に助けられたのだろう。まぁ、構図的に抱きしめられてるような姿勢なのはしょうがない……前が見えないからそんな構図かどうかは分からないけど……でも、力強い腕の感覚は、事実。

 初めての体験に状況把握能力が追い付かず、頭が真っ白になった私は、

「い、いきなりバスタオルで視界を塞がないでよ! せめて何か一言何か言ってほしいなぁっ!」


 声が、不自然に上ずった。


「ゴメン。結構濡れてるみたいだったから……」


 冷たかったはずの体が、妙な熱を帯び始めているのを感じる。

 悟られたくない、心が疼いて……鼓動が、速くなる。


「ありがと。とりあえずもう大丈夫だから、離して――」

 私は彼から離れようと、軽く身をよじらせた。


 だけど。
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